スピーダーNX バイオレットって?誰に合う?ブラックと比べてどう?
スピーダーNX バイオレットってどう?
広島市安佐北区のゴルフ工房 スルーザグリーンです。
今月発売予定のフジクラ スピーダーNX バイオレットの試打シャフトが届きました。
VIOLETで「バイオレット」なの?「ヴァイオレット」なの?
今のところ「バイオレット」のようなので「バ」でいきます。
当店の工房で、日々さまざまなシャフトのフィッティングやカスタムクラブの調整を行っています。
スピーダーNXシリーズのブラック・グリーンは、数多くのお客様にご使用いただいています。
スピーダーNXバイオレットはこの2024年の秋以降、各メーカーのカスタムに採用される予定。
今年リリースされたシャフトの中でも、特に注目すべきシャフトになりそうです。
その特徴や使い心地、どのようなゴルファーに向いているかを早速、測定して詳しくご紹介します。
どんなシャフト?
コスメは、手元側がブラックで「NX」のプリントから先端側はバイオレット(紫)です。
塗装は、スピーダーNXブラックはマットな仕上げでしたが、NXバイオレットはグロス(艶アリ)仕上げです。
手元がブラックなので、グリップのカラーマッチングが容易なシャフトで助かります。
全部が紫だと、色合いが合うようなグリップはあまり無いので。
「NX」のプリントの先端側直下に、こっそりと「FUJIKURA」のプリントが同系色でデザインされています。
NXブラックでは「FUJIKURA」ドーン「SPEEDER」ドーンといった大きいロゴでプリントされていましたが、
NXバイオレットは、「FUJIKURA」はコッソリ「SPEEDER」は控えめに、替わりに「NX」がメインのデザインになっています。
2024/09/11追記
フジクラさんからの説明で、「このバイオレットからスピーダーNXの第2世代という位置付け」とのこと。
第2世代=Nextのイメージから、デザインも「NX」をメインになっているとのことでした。
スピーダー NX バイオレットの剛性設計
まず、スピーダーNXバイオレットの剛性設計を見ていきます。
このシャフトの「50-S」と「60-S」を測定しましたが、重量違いも同様の剛性設計を採用しているようです。
50-Sと60-Sで剛性設計は同じ流れで作られているようです。
重量分硬くなる感じ。
重量が増すと、その分硬さが増す設計になっていることがほどんどですが、
以前測定したVentusシリーズのように、重量が変わると剛性設計が大きく異なるシャフトもあります。
重量が変わっても、スイング時のフィーリングが大きく変わらないというのは、
フィッティングにおいて非常に重要なポイントですので、今回は一安心です。
トリプルキック剛性設計?
スピーダーNXバイオレットは剛性設計が特徴的です。
具体的には、シャフトの手元から『普通・硬・ちょい柔・硬・普通』と、走りと粘りが連続するまるでトリプルキックのような剛性設計。
トリプルキックは、ちょっと言い過ぎですが。
- 手元部剛性 → 標準
- 中元部剛性→ 高め
- 中央部剛性→ 標準より低め
- 先中部剛性→ 高め
- 先部剛性→ 標準
これは、手元と中央部分のしなりを感じつつも、インパクト時にはしっかりとした走り感を得やすいの剛性設計です。
中央部のしなるポイントを挟むように剛性が高い部分があるため、ワッグル時に感じる硬さはやや硬め。
ワッグルした感じでも、中から先にかけてグイッグイっと前へ行こうとする挙動を感じます。
多くのゴルファーにとって手元のシナリ感を程よく感じることが出来るため、切り返しでタイミングが取りやすく、スムーズにダウンスイングへ導いてくれる効果が期待できます。
そして、ここ最近のボール初速を出すシャフトに共通しているのが、この手元と中元部分の剛性設計。
スピーダーNXバイオレット、初速出そうです!
一応、中調子
カタログの記載は中調子。
メインは大きく剛性のラインが下がっているのは、中央部なので中調子で間違いないですが。
通常、中調子と聞くと
- シャフト全体が均一にしなるイメージ
- シャフトの中央部分のみがしなるイメージ
このようなイメージを持つかもしれませんが、前述のようにこのシャフトは少し異なります。
シャフトの先と手元、つまり両端にも中央部にもキックポイントが存在します。
スイングの切り返し後に、これらのポイントでシャフトが反応します。
これにより、ダウンでも中央部でタメが効きインパクトへ向かいます。
が、ただ粘るだけでなく中先部から走っていく動きが発生します。
最初は「中調子の両端がしなる」と思っていましたが、
「ダブルキックのシャフトの中央部分が少ししなる」という表現の方がしっくりくるかも知れません。
フジクラさんの狙いとは少し異なる見解かも知れませんが、ある意味「ちょっと複雑にしなる」ということです。
複雑にしなると、一定したインパクトになり難くショットや当たりがバラけてしまいやすくなります。
そこで出てくるのが
“先端と手元 のねじり剛性を約10%アップ。”
これです。
手元と先端の二つのポイントは、ねじりが抑えられていて、複雑にしなっても再現性を落とさない設計になっています。
弱点になり得るところをテクノロジーで補われているシャフトと言えると思います。
「VARIABLE TORQUE COREテクノロジー」ですね。
先ほどの写真の左にプリントされています。
また、シナリの復元のタイミングと、ネジレの復元のタイミングを絶妙に合わせる技術だと考えられます。
- スイングの切り返し以降でシナリとネジレが発生
- インパクトに向けて双方が戻る。
- 呼び名として正しいか分かりませんが、「逆シナリと逆ネジレ」が発生
2次元で考えてしまいやすいシャフトの動きですが、
シナリとネジレの戻ってくるタイミングをコントロールする3次元で捉えるという事です。
とは言え、複雑にはしなります。
ですので、46インチ超などの長めは、しっかりと安定したスイングが出来るゴルファー以外は当店ではオススメしません。
(流石にミートしないと初速が出ません)
短めでしっかり仕事するシャフトだと思います。
もちろんヘッドの重量にもよりますが、長くても45.5インチぐらいまでがオススメです。
つかまりの良さ
前作のスピーダーNXブラックは、「つかまりが良い」シャフトとして知られています。
アウトサイドからの軌道を持つゴルファーにとって、ボールをカットスライスしてしまう悩みはよくあります。
スピーダーNXブラックは、カットスライスでのミスを減らす動きをしていました。
スライスが改善した方も多かった。
スピーダーNXバイオレットは、同じスライスを補う働きでも、アウトサイドに押し出してから更に右へ曲がる プッシュスライスを減らす動きが期待できそうです。
- プッシュアウトに有効
- プッシュスライスに有効
また、リリースが早めのゴルファーでも、手元と中央部の「しなりポイント」によりタメを効かせやすいので、解けも多くは無いですが補正が期待できます。
後ほどNXブラックとの比較を行いますが、アウトサイドからの軌道を補正する量もタメの量も、剛性設計からNXブラックの方が多くなると考えられます。
シャフトの先端が最後に動くという設計により、インパクト時のフェースの開きを抑制する動きが期待出来ます。
- 全体のしなりでボールをつかまえるNXブラックに対して、
- 中央部分に剛性の高い箇所もあるNXバイオレットは、先端の動きで「最後につかまえる」
という感じです。
この先端の動きは、剛性設計によるシナリと、先ほどの部分的なトルクをコントロールする技術の両方によって起こります。
この2つの要素によって、ただフェースに閉じる動きを与えるのではなく、アッパー軌道に動きながら つかまえにいく動きをします。
「インパクトのスピードを上げ・つかまり・高く・スピンの少ない弾道」飛ぶ要素をたっぷり含んだシャフトと言えます。
適合するタイプは?
スピーダーNXバイオレットは、「運動Type-A」スイングタイプを持つゴルファーに適しています。
特に「運動Type-A」でスライス回転やプッシュアウト・初速不足のゴルファーにオススメです。
このシャフトを使うことで、つかまりやタイミングの取りに難さ・飛距離の問題を解決してくれる可能性を持っています。
「運動Type-C」に関しては、アウトサイドからのカットが少ない場合には適合しそうです。
Type-A
- プッシュアウトが多めで、つかまりを強化したい
- プッシュスライスが出ることがあり、右へのミスを減らしたい
- まったりしたシャフトだとタイミングが合わない
- スピン量が多く、後半失速する弾道になる
Type-C
- つかまりが欲しいがNXブラックよりも走る感じが欲しい
- フェースの開きによるスライス回転により飛距離をロスしている
- 打ち出し角度に対してバックスピンの量が多く、弾道の後半に伸びが欲しい
- 打ち出し角度が低く高くスピン量が多い
- 振っている割にヘッドスピードが出ない(飛ばない)
シャフトがスイングの動きをしっかりと追従し、かつ適切なタイミングでボールをつまえる動きをサポートしてくれるためには、しっかりと「しならせられるフレックスの選択」が必要になります。
Type-Aは、やや硬めでも問題ありません。
Type-Cは、シャフトの中央部の張りを硬いと感じて力んでしまう方は、試打が可能であれば、イメージしているフレックスともに1つ柔らかいフレックスもテストされることをオススメします。
「タメ」と「つかまり」が十分でないゴルファーは飛距離や方向性が大きく改善されると思います。
2024/10/16追記
現在NX ブルーをお使いのアウトサイドからのカット量が多いお客様に試していただきました。
予測でも書きましたが
- やや硬めに感じる。
- タメが解けるのが早い気がする。
- カットしてしまう量を補えないため、つかまらない。
との結果でした。
右利きの方の場合で、左へ打ち出して右へ曲がって戻る弾道を補正したい方よりも
右へ打ち出して真っ直ぐか右へ曲がるプッシュ系の弾道を補正したい方へ向くと思います。
振動数とスペック
気になる方も多い、スピーダーNXバイオレットの振動数・重量・トルクのスペックはこちら。
モデル | 重量 | トルク | 振動数 |
40/R2 | 48.0g | 5.7 | 220cpm |
40/R | 49.5g | 5.7 | 229cpm |
40/SR | 51.0g | 5.7 | 240cpm |
40/S | 53.0g | 5.7 | 250cpm |
50/R | 54.5g | 4.5 | 234cpm |
50/SR | 56.0g | 4.5 | 244cpm |
50/S | 57.5g | 4.5 | 254cpm |
50/X | 59.0g | 4.5 | 264cpm |
60/SR | 65.5g | 3.6 | 251cpm |
60/S | 67.0g | 3.6 | 261cpm |
60/X | 68.5g | 3.6 | 271cpm |
70/S | 77.5g | 3.0 | 266cpm |
70/X | 79.0g | 3.0 | 275cpm |
- 重量は長さ:46インチカット前
- 振動数:ダミーヘッド198g長さ45.5インチ時
振動数はヘッドの重量や重心位置・打ち込み量などで変化します。
他のスピーダーと比較してどうか?
正直、NXもブルー・グリーン・ブラックがあり、今回スピーダーNXバイオレット
他にダイヤモンドスピーダーが新しくなり、デイトナ(Daytona)スピーダーもある。
色と値段が違う以外、「何が違うの?」という方が多いでしょう。
スピーダーNXの中で住み分けがあり、ダイヤモンドスピーダーとデイトナ(Daytona)スピーダーとはターゲットのゴルファーが異なる剛性設計です。
(ダイヤモンドスピーダーとデイトナ(Daytona)スピーダーは、グラフのようにNXよりも手元の剛性が低く設計されています。)
ですので、今回はブラックとの比較をメインにしておきます。
スピーダー NX ブラックと比較してみる。
NX ブラックとスピーダーNXバイオレットを比べてみてどうか?
剛性や性格とは関係ないですが、お値段が5,000円アップ!
2枚目のグラフでは赤と紫を比較
- 手元側はよく似ている
- 手元・中元はわずか柔らかい
- 中央部は硬いことは無いが、前後の剛性の高いためブラックよりはシナリはやや少ない
- 中央部分に張りを感じる
- 先中部から先部はブラックよりもシナリが出る。
ポジションマップでは、スピーダーNXブラックよりもスピーダーNXバイオレットの方が
- やや低スピン
- 打ち出しの高さとつかまりも抑え目
運動Type-Aなどスイングのタイプによってはブラックよりもつかまるかも。
しなり感の中にも、インパクトでタイミングの合う走り感も欲しい方は、スピーダーNXバイオレットが良いでしょう。
大きな全体しなりでボールをつかまえていきたい方は、NXブラックの方がオススメです。
スピーダーNXバイオレットを、今年話題の慣性モーメントが巨大な重めのヘッドに短めに装着。
当たりブレを減らし、スピーダー(スピード違反者)らしい初速で安定した飛びを手に入れましょう。
※測定値は当店の測定器・測定方法によるものです。
※効果効能(?)は、取り付け方法や組み合わせなどで変わりますので参考までに。
※測定数値などは、測定方法・測定機器の違い・ヘッドやグリップの装着方法などにより変わりますので参考までに。
今後、追記していく予定です。
組み上げた後のデータなど、今後追記していく予定でおります。
2024/09/16追記
9月5日~9月8日開催の国内女子メジャー「ソニー日本女子プロゴルフ選手権大会」では、
出場選手132人中51人(使用率38.6%)がフジクラシャフトを使用し、シャフトメーカー別の使用率で1位。
モデル別では、スピーダー NX バイオレットの50が早速1位タイ。
高い評価を得ていることが裏付けされました!
しかも、同じ1位タイがNXブラック50・NXグリーン50が同人数という支持率の高さ!
この3モデルが、異なるキャラクターでターゲット使用者が異なるという事も改めて分かります。
このブログ記事が、スピーダーNXバイオレットの魅力を知る一助となれば幸いです。
自分にぴったりのシャフトを見つける手助けができることを願っています。
詳しくお聞きになりたい・お話ししてみたい方は、ぜひ当店まで。
ゴルフパフォーマンス スタジオ
THROUGH THE GREEN(スルーザグリーン)
〒731-0201
広島市安佐北区大林3丁目14-22-1F
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