トゥルーテンパーのELEVATE MPH 95ってどんなシャフト? 実測して検証
広島市安佐北区のゴルフ工房 スルーザグリーンです。
トゥルーテンパーのELEVATE MPH 95(エレベート エムピーエイチ)シャフトを取り扱う機会がありました。
「エレベートってどんなシャフトなのか?」
初めての取り扱いでしたので、実測データを交えて詳しく解説します。

ELEVATE MPH 95ってどんなシャフト?
ELEVATE MPH 95とは?
シャフト名の由来
まずはシャフト名に使われている「elevate」(エレベート)から。
「elevate」(エレベート)とは?
「持ち上げる」「高める」「向上させる」という意味の英語の動詞。
物や人を物理的に持ち上げるだけでなく、地位、レベル、感情などを「より高くする」という抽象的な意味でも使われる。
「エレベーター」の語源と考えると分かりやすいですね。
メーカーサイトから
メーカーサイトは下記になります。
トゥルーテンパーのELEVATE MPH 95(エレベート エムピーエイチ)
https://www.truetemper.co.jp/by-brand/steel-shaft/elevate95/

ELEVATE MPH 95ってどんなシャフト?
欧米市場で好評のELEVATEシリーズ ELEVATE MPH 95
ゴルフクラブの低スピン化はアベレージゴルファーにとってアイアンやウェッジでボールが止まりづらいといった傾向がみられるようになりました。Elevate MPH (Maximum Peak Height) は、これまでに製造されたElevateシリーズの中で最も軽量で、
ボール打ち出し角、最高到達点が最大になるよう設計されていますので、スピン量と高さの両面でグリーンを狙えます。また、初速の最大化によってシリーズ最長の飛距離性能も持ち合わせています。
軽量シャフトでありながら超高強度の〈バナジウム強化鋼合金〉を使用することで、安定性も両立したシャフト設計となっています。
Elevate MPH (Maximum Peak Height)=最大の頂点の高さに持ち上げるシャフトということですね。
剛性設計
測定した剛性値をグラフで見ていきます。
比較対象が無いと、どの程度の剛性設計なのかが分かりにくいですので、重量帯も近くて馴染みのあるNS Pro 950 Neo/Sも併記します。

ELEVATE-MPH-95剛性設計
グラフの線が手元から中先部までは、ほぼ差がないことが見て分かります。
- 先端はELEVATE MPH 95/Sの方が剛性が高くなっています。
- 全体的にも僅かですがELEVATE MPH 95/S方が剛性が高く設計されています。
それでもイメージとしては、先がやや硬いNS Pro 950 Neo/Sといった感じです。
「トゥルーテンパー」と聞くとDG(ダイナミックゴールド)を思い浮かべますが、全く設計が異なるため、DGからの移行は無いと思います。
比較や移行するならDG MIDのシリーズになります。
どんな人に合うか?
分類としてはType-A
ダブルキック構造で、手元と先端がしなり、中央部はしっかり感を持たせた設計のシャフトです。
先ほどの繰り返しですが、グラフで見て先端の剛性値がNS Pro 950 Neo/Sと比べて高くなっているのが分かります。

ELEVATE MPH 95ファーストステップ
↑このようにソケット上からファーストステップまでがかなり長い。
先中部分の剛性が低く抑えて設計されているのが、ステップからも分かります。
エレベートの名前に対してイメージに反するかもしれませんが、部分的な剛性設計を見ると
- 手元が最もしなる
- 中央部は剛性が高い
- 先中部分にしなるポイントがある
- 先端は剛性が高い
先部分よりも先中部分にしなるポイントを作っておく設計は、フジクラさんのTRAVILでも見た傾向です。
ブロー角がややなだらかにやりやすく、先中部分のベンディングポイントが打ち出し角度を上げていく。
上がりやすいシャフトにありがちが「先端の弱さ」をカバーして、当てやすさで初速を得る。
こんな感じの設計意図を感じます。
NS Pro 950 Neo/Sとの比較では、タイミングの取りやすさは似ているが、「弾道が上がり過ぎる方」・「打点が少しバラつく方」には相性が良さそうです。
軽量のスチールシャフトですので、中央の剛性値が飛び抜けて高いことはありませんが、この重量帯を必要とする方のスイングには十分に付いてくる剛性だと考えられます。
NS Pro Neoシリーズついては下記もご覧ください。↓

他のシャフトとの比較

ELEVATE-MPH-95剛性分布の比較
同じトゥルーテンパーのシャフトで近い重量帯から
- AMT Black/S200 #7i用
- DG MID 95/S200
近い重量帯で、最もメジャーなNS Pro 950 Neo/S
この3本と比較を行いました。
DG MID 95/S200とは、全体的に剛性値が少し離れています。
AMT Black/S200 #7i用と、先ほども比較したNS Pro 950 Neoはかなり剛性設計が近いと言えます。

ELEVATE MPH 95中央部ステップ
ファーストステップ後は、シャフトの中央部に向けて狭い間隔で多くのステップが設計されています。
中央部のしっかり感を作っている部分。
走るタイプのシャフトに多く見られる設計です。
スペック表から
商品コード | 適 用 | ティップ | フレックス | シャフト長 inch |
ティップ径 inch(mm) |
バット径 inch(mm) |
カット前 重量 |
キック ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
EL95MPHS-LD |
アイアン | テーパー | S | 40.5-36.5 | .355 (9.00) |
.600 (15.25) |
101g | 先調子 |
EL95MPHR-LD |
R | 100g |
スペック表で気になるところは、シャフト長の設定です。
Pw用の長さの設定が36.5インチ
これはAMTのレッドやブラックと同じ設定。
長さの設定としては意外と珍しく、多いのは下記の2つの設定。
- DGやModusといった中量〜重量級のスチールシャフトに代表される37インチ
- DG85やDG95・NS Pro 950 Neoなどの計量スチールに代表される35インチ
長さの設定が短ければ、通常の装着方法で通常の長さの場合は、Buttカットする量が少なくなります。
それにより、装着重量がカット前の重量とより近い重さになります。
今回の場合ですとカット前104.8g → カット後98g
カット前104.8gから約6.8gカットし、装着重量は98gとなりました。
カタログ値だと101g前後ですので、装着重量は94~95gが平均値になりそうです。
また、ソフト方向へ番手ずらしを行う際に、長さに余分が無いため「ずらせる範囲」が限られます。
キックポイントについては、このブログで度々お伝えしていますように、測定方法が不明のため当店ではカタログ記載の調子を参考にしておりません。
今回の測定結果から調子係数を出すと元調子に分類されます。
真反対で混乱を生じますので、ここはこのぐらいに。
装着実例
ELEVATE MPH 95 Sフレックス装着時のスペックは下記の通りです。
- 番手:#7I
- ヘッド重量:269.7g
- シャフト:ELEVATE MPH 95
- フレックス:S
- シャフト装着重量:98g
- グリップ重量:50g
- 長さ:37インチE
- 重量:420.9g
- スイングウェイト:D1.0
- 振動数:326cpm
- 換算フレックス:SR+
- 振り抵抗:266.9moi
シャフトの装着前重量が、#5i〜Pwで100.0g〜104.8gでしたので、それなりの製品誤差があると思われます。
先ほども書きましたが、今回の#7iは、カット前104.8gでした。
まとめ
トゥルーテンパーのELEVATE MPH 95は、「Elevate(エレベート)」という名前に込められた意味通り、打ち出し角度や弾道の頂点を高めることに重きを置いて設計されています。
手元部と先中部にしなりを感じながらも中央部はしっかりさを持たせるダブルキック構造のType-Aに分類されるスイングに対応した剛性設計がされています。
軽量スチールシャフトでありながら高強度のバナジウム強化鋼合金を使用し、先部は高剛性になっており、高弾道狙いながら打点のばらつきも抑えたいプレーヤー有効な選択肢となります。
高い打ち出し角度と高いミート率を狙える計量スチールシャフトです。
また、手元がしなることで切り返しのタイミングも取りやすく、振り遅れ防止にもつながります。
このように各部分の剛性配分を巧みに操作し、バランスよくしなりと硬さを調整した意図的な設計が特徴です。
シャフト選びの参考になれば幸いです。
ゴルフパフォーマンス スタジオ
THROUGH THE GREEN(スルーザグリーン)
〒731-0201
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